https://seiwakai-hp.jp/2016/11/15/
フレイルは、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」1)とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。
多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。
高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。
1)厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄
健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html より引用。
高齢化社会が進み、呼吸器内科の入院患者さんも平均80歳以上となっています。
多いのは「誤嚥性肺炎」です。
ご飯を飲み込む嚥下機能が低下し、誤嚥して肺炎を繰り返す方が多いです。
ご飯そのものの誤嚥というより、夜間に唾液を無意識に誤嚥して肺炎となることが多いです。
入院するとベッド上の生活が主となり、足や全身の筋肉が落ちてしまい、転倒しやすくなります。転倒するだけでなく、骨折して寝たきりになってしまうことがよくあります。
転倒しないまでも、筋肉量減少のために身体活動性が低下することが多いです。
元々寝たきりに近い患者さんは、誤嚥性肺炎で入院することでますます寝たきり度が高くなります。
杖をついて歩いていた人も、肺炎で1週間入院するだけで(筋力低下のため)歩行が困難になってしまうこともよくあります。
日本は長寿社会だといいますが、「寝たきりでチューブから栄養をもらっている」状態と「他人の世話にならずに自分の足で歩き、自分のことは自分でできる」のとでは全然ちがいますよね。
普通の長寿国ではなく、「健康長寿国」になってほしいと思います。
寝たきりの人を回復させるのは現実的には困難ですが、
「予備軍」の状態の人に、周囲が介入することで、
寝たきりを防ぐ、寝たきりになるのを遅らすことはできます。
「自分の足で歩けて、身の回りのことは自分でできる!」を目標に、
フレイルの人に積極的に働きかけていただければ幸いです。