メルマガ9:結核性胸膜炎


今回は結核性胸膜炎についてです。
結核菌感染によって、胸水(肺と肋骨の間のスペース(胸膜腔)の液体)がたまり、炎症を起こしている状態をいいます。
胸水を検査して結核菌は検出されれば確定診断ですが、結核菌が検出されないことが半分以上です。
また肺内の病変がないことも多いです。
胸水がたまっている患者をみた場合、原因を検索します。
胸水からがん細胞がでればがん性胸膜炎、好中球が多ければ細菌性胸膜炎となります。
一方、結核性胸膜炎の場合は結核菌が検出されないことが多いのですが、
胸水中のリンパ球の比率が高く、胸水のADA(アデノシンデアミナーゼ)の値が高い場合、
他に原因となる疾患がない場合には臨床的に結核性胸膜炎と診断することが多いです。

治療は肺結核の時と同様で
INH、RFP、PZA、EB、SMなどの複数の薬を数か月服用することになります(結核その8参照)。
胸水が多量に貯留している場合には呼吸が苦しいので、胸水を抜いてあげるのも治療ですが、
少量であれば薬剤服用で胸水は減少、消失します。
なお、結核性胸膜炎だけでは隔離の対象にはならず、他人に感染させるリスクもありません。
喀痰など体外に結核菌を排菌している場合のみ、隔離対象となります。