メルマガ12:耐性結核


【第12回】耐性結核
結核の主な薬としては、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、
エサンブトール(EB)、ストレプトマイシン(SM)、ピラジナミド(PZA)があります
結核菌がこれらの薬に抵抗性の場合、「耐性結核」と言い、結核菌の除菌が困難になります。

そのうち、INHとRFPは結核の中心的薬剤ですが、INH、RFPの両方に耐性になっている場合、
「多剤耐性結核(MDR-TB)」と言い、治療が困難になります
治療期間を延長することもしばしばです。
具体的には中心となるべき薬が使えないので二次抗結核薬といわれる薬を使う必要があります。
これは6つの区分があり、
アミノグリコシド系、ポリペプチド系、フルオロキノロン系、
チオアミド系、サイクロセリン、パラアミノサリチル酸になります

結核菌への効果はINHやRFPの方が優れているので、
二次抗結核薬をやむなく使っても排菌が止まらなかったり、止まるまで時間がかかったりします。

INH+RFPに加えてフルオロキノロンいずれかと
注射二次薬(カプレオマイシン、アミカシン、カナマイシン)の少なくともひとつに耐性をもつ結核菌を
「超多剤耐性結核(XDR-TB)」といいます。
XDR-TBは稀ですが、その患者さんの治療はきわめて困難になってしまいます。


耐性結核患者が出てしまうメカニズムとしては2つ考えておく必要があります。
ひとつは耐性結核患者から伝染したような場合です。
2つめとして、もともとは薬が効く結核菌だったのに、治療薬をきちんと服用しなかった結果、耐性化してしまう場合です。

結核の薬を医師の指示どおりにきちんと服薬する必要があるのは、
耐性結核を作らないようにするためなのです。