COPD(慢性閉塞性肺疾患)の早期発見,治療のために

 

COPDは,以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた疾患で,日本人の場合ほぼすべての原因はタバコといわれています.

タバコの煙によって長期間炎症が起こり,肺が壊れたり気管支に炎症が起こったりします.

症状は,労作時の息切れ,咳,たんなどです

進行すると安静時にも呼吸が苦しくなり,最終的には家で酸素を吸入することになりかねません.

 

いったん壊れた肺は元に戻らないため,できるだけ早く診断をつけて気管支を広げる薬(気管支拡張薬)を吸入することで病気の進行を遅らせるのが重要です.

しかし,早期には症状もあまりないため,咳やたんは「ちょっと風邪が長引いている」,労作時の息切れは「年のせい」でかたづけてしまってなかなか病院を受診しないことも多いのが現状です.

 

日本人を対象としたNICE studyでは,潜在患者数が530万人に対して実際に受診しているのは20数万人しかいない現状が示されました.

COPDが原因で死亡する人は年々増加しており,2011年には約16000人がCOPDが原因で死亡したとされています(ぜんそくの約8倍).

厚生労働省は健康日本21のなかで,がん,心臓病,糖尿病に加えてCOPDを重点項目に指定しました.

ここではCOPDの早期発見,早期受診をめざして情報提供していきます.

 

1.一見健康に見えるスモーカーの方へ

もしかするとあなたの肺機能はタバコのせいで悪くなっており,COPDの初期かもしれません.労作(階段や運動)で息切れを感じたり,咳やたんがつづくようであれば,呼吸器内科を早めに受診しましょう.

健康診断のときなどに肺機能検査をすることがあれば,その結果の指示にしたがいましょう.

「肺年齢」という概念があります.肺年齢が実年齢から高い場合にはCOPDの可能性があります.早めに呼吸器内科で精密検査をうけましょう.

肺年齢はこちらから計算することができます.

 

2.高血圧,糖尿病,心臓病,骨粗鬆症などで通院中のスモーカーの方へ

COPDは肺だけでなく全身に炎症がおこり,高血圧,糖尿病,心臓病,骨粗鬆症などの全身性合併症をおこす病気です.もし労作時の息切れや,咳,たんの症状があるようなら,主治医の先生に肺機能検査をおねがいしてください.

 

いずれにしても,まずは禁煙することが基本です.