胸部X線やCTで異常所見があり、喀痰から結核菌が検出されると肺結核と診断されます。
①喀痰を直接染めて結核菌が証明された場合(塗抹検査)、「排菌」していることになります(*)。この場合、排菌が止まるまで結核専門病院に入院する必要があります。
②塗抹検査では陰性でも、培養すると結核菌が生えてくることがあります。結核菌は発育が遅いので、最大8週間かかります。この場合、排菌はしていない状態ですが、肺結核として外来で治療する必要があります。
(*):厳密には塗抹検査陽性は、抗酸菌がいるということになります。結核と診断するには、DNA増幅検査(PCR)で結核菌と確定する必要があります。抗酸菌は、結核以外の「非結核性抗酸菌」のこともあります。
結核は通常の肺炎よりも長い治療期間が必要です。
大体6か月から9か月の内服が必要です。
しかも3剤から4剤の多剤併用が必要です。
これは結核菌を確実に殺し、薬が効かなくなる「耐性菌」の出現を防ぐためです。
確実に服薬しているか看護師、保健師などが服薬支援することをDOTSといいます。
初回はINH+RFP+EB(SM)+PZAを2か月、その後INH+RFPを4か月、計6か月服用するA法が基本です。
PZAが使用できない場合はINH+RFP+EB(SM)を2か月、その後INH+RFPを7か月、計9か月服用するB法を選択します(INH+RFP+EB(SM)は2ー6か月)。
なお,下記の条件がある場合には維持期を3 か月延長し,(A)法では維持期を7 か月,全治療期間9 か月(270 日),(B)法では維持期を10 か月,全治療期間12か月(360日)とすることができます。
⑴結核再治療例
⑵治療開始時結核が重症:有空洞(特に広汎空洞型)例,粟粒結核,結核性髄膜炎
⑶排菌陰性化遅延:初期2 カ月の治療後も培養陽性
⑷免疫低下を伴う合併症:HIV感染,糖尿病,塵肺,関節リウマチ等の自己免疫疾患など
⑸免疫抑制剤等の使用:副腎皮質ステロイド剤,その他の免疫抑制剤
⑹その他:骨関節結核で病巣の改善が遅延している場合など
https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol89(2014)/vol89no7p683-690.pdf
特に末梢神経障害、肝障害、皮疹に注意。
特に肝障害、皮疹、消化器症状に注意。
特に視野狭窄、視力障害、消化器症状に注意。
特に難聴、腎障害に注意(注射剤)
特に肝障害、消化器症状に注意。
結核は初回にきちんと治療するとほぼ完治させることができます。
症状がなくなったからといって服薬を中断することなく、医師の指示通りに最後まできちんと服薬することが重要です。