今回はインフルエンザ脳症についてです。
インフルエンザは感染力が強い上、時として重症化することがあります。
命にかかわる合併症としてインフルエンザ脳症があります。
インフルエンザ脳症の概念としては、
『インフルエンザウイルス感染に伴う発熱後、急速に神経障害・意識障害を伴う症候。
病型は、急性壊死性脳症、ライ症候群、HSE症候群(hemorrhagic shock and encephalopathy syndrome、出血性ショック脳症症候群)などに分類されている。
また、狭義の意味として「インフルエンザ脳症」=「急性壊死性脳症」という使い方もある(Wikipediaより)』
急性壊死性脳症は5歳以下に好発し、インフルエンザ感染(A型が多い)後に(平均1.4日後)
下痢、嘔吐、意識障害、腎障害などが起こります。
高熱の持続により脳血管内皮細胞に障害が起こることが疑われています。
一方で解熱剤の使用がインフルエンザ脳症に関連するという説もあります。
特にジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)又はメフェナム酸(ポンタール®)が他の薬剤に比較して
インフルエンザ脳炎・脳症による死亡についてわずかではあるが有意に悪い影響を与えたという報告もあります。
似たような概念にライ症候群があります。
『6~12歳に好発し、B型インフルエンザが原因のことが多い。
他、水痘・帯状疱疹ウイルスなどでも生じる。
発熱して5~7日後に発症することが多い。
嘔吐・意識障害・痙攣を生じる。
また、高度の肝機能障害・低血糖・高アンモニア血症も伴うことがある。
解熱剤のアスピリンに含まれるサリチル酸がミトコンドリアを障害するという説がある(Wikipediaより)』
小児に起こることが多いインフルエンザ脳症ですが、対策としては
(1)インフルエンザが重症化しないようにワクチンを毎シーズンうける。うがい、手洗い、マスクを励行する。
(2)高熱の持続が脳に悪いので、クーリング(体を冷やす)こと、こまめな水分補給をする
(3)解熱剤を使用する場合は、比較的安全性の高いアセトアミノフェン(カロナール®)を使用する。
ということになるかと思います。