メルマガ11:接触者健診


【第11回】接触者健診
排菌している結核患者が発生した際には、排菌が止まるまで結核の専門病院に入院してもらうことになります。
しかし、結核と診断されるまでは、患者さんは周りの人と接触していたわけですから、診断がつくまでは周囲に感染させていた恐れがあります。
元々の結核患者の周囲の人が発症することになると、結核の感染が拡大してしまうことになります。
感染の拡大を防ぐためには、結核患者(排菌)が発生した際に、その人の行動範囲を調査し、感染の拡大を防ぐ(社会防衛)ことが重要です。
患者さんが咳をしだした頃から接触した人をすべてリストアップし
特に感染のリスクが高い人を中心に感染していないか検査することになります。
検査は最近ではIGRA(T-SPOTあるいはクオンティフェロン)という血液検査を行います。
結核菌に感作されたリンパ球は、結核菌の成分と接触するとインターフェロンγという物質を放出するため、このインターフェロンγを測定するという検査になります。

結核患者と接触してもすぐにはIGRAは陽性になりません。
そこで、結核患者が発生したらまずは周囲の濃厚接触者にIGRAを行い、ベースラインの値とします。
この時点で陽性であれば、元々結核に感染しているか、今回の接触(ある程度長期間の接触)で感染
したものと判断します。早めに医療機関を受診してもらいます。
この時点では陰性でも、2-3か月後に再検査を行い、陽性になることが時々あります。
このようなケースでは今回の接触で感染したことが疑われ、精密検査に回ってもらいます。

2回のIGRA検査で陰性であれば、今回の接触では感染しなかったものと判断されます。
IGRA検査で陽性となる人の割合が多い場合、感染が広がっていることが危惧されますので、

接触者の輪を広げて検討することになります。

このような接触者健診は結核の感染を防ぐ意味で非常に重要です。
具体的には保健所の保健師さんが調べていただいています。
保健師さんは、結核患者がきちんと服薬しているかの確認(DOTS)も行っており、大変重要な役割を担っているのです。