肺癌診療ガイドライン2018版(日本肺癌学会:金原出版)において、IV期非小細胞肺がんではドライバー遺伝子変異(EGFR, ALK, ROS-1, BRAF)の有無、PD-L1の陽性の程度によって薬剤を選択することになりました。PD-1/PD-L1阻害剤の位置づけが上がっています。
ドライバー遺伝子変異/転座陽性の場合、それぞれに対するキナーゼ阻害剤を一次治療で用い、二次治療で細胞障害性抗がん剤、三次治療で細胞障害性抗がん剤またはPD-1/PD-L1阻害剤の治療を行うのがメインストリームです。
ドライバー遺伝子変異/転座が陰性の場合、PD-L1陽性50%以上かどうかを判定します。
50%以上の場合PS0-1であれば、ペムブロリズマブ単剤か、プラチナ併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤(ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ)を検討します。
私見としては、PD-L1陽性の数字が高ければ(80%以上)ペムブロリズマブ単剤でも効果が期待できるのではないかと思います。患者の年齢が若かったり、腫瘍進行速度が早ければ化学療法とPD-1/PD-L1阻害剤の併用を検討します。
PS2の場合、細胞障害性抗癌剤あるいはペムブロリズマブ単剤を検討します。
PS3-4の場合、薬物療法は勧められません。
ドライバー遺伝子変異/転座陰性でPD-L1が50%未満の場合、PS0-1であればプラチナ併用療法にPD-1/PD-L1阻害剤を追加するかどうかを検討することになります。
私見としては、PD-L1が50%未満のためPD-1/PD-L1阻害剤単剤の効果は限定的と思われ、患者が若い場合はプラチナ療法とPD-1/PD-L1を併用できないか検討します。
ドライバー遺伝子変異/転座陰性の場合、一次治療で免疫チェックポイント阻害剤(PD-1/PD-L1阻害剤)を使用しているかどうかで異なります。
PD-1/PD-L1阻害剤を使用していない場合は、二次治療でPD-1/PD-L1阻害剤(ニボルマブ、アテゾリズマブ)の投与、あるいは細胞障害性抗癌剤の投与を検討します。
PD-1/PD-L1阻害剤を一次治療で使用した場合、二次治療は細胞障害性抗癌剤を検討します。