呼吸は酸素を体内に取り入れ,二酸化炭素を体外に排出する役割をもっています.とは言え,普通そのことを意識して呼吸している人はいないでしょう.通常,意識しない呼吸ですが,呼吸運動を行うことに苦しさを感じる「自覚症状」が呼吸困難です.呼吸困難の客観的な判定は難しいです.
呼吸困難をきたす代表的な原因疾患を以下に示します.
上気道性 |
気道内異物 仮性クループ* |
肺性 |
自然気胸 喘息 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪 成人呼吸窮迫症候群(ARDS) 肺梗塞 |
心性 |
うっ血性心不全 心筋梗塞 |
心因性 |
過換気症候群 |
代謝性 |
糖尿病性ケトアシドーシス 甲状腺機能亢進症 |
血液性 |
貧血 |
神経.筋 |
重症筋無力症 |
中枢神経系 |
脳炎 脳出血 |
その他 |
肥満 など |
日本医師会雑誌 Vol95 No.5 「症状からみた救急処置 内科編」pp153-168 「11.呼吸困難」石田詔治 より引用
このうち,上気道性,肺性,心性,心因性では呼吸困難を主に訴えることが多く,しかも救急処置を要することが多いので要注意です.
普段と違う息苦しさが出現した時は,以上のように救急処置を要する病気かもしれないのでただちに医療機関を受診することが重要です.