IMPACT試験について(2018.5.27)
COPDの治療薬は長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)といった気管支拡張薬がメインで、
吸入ステロイド(ICS)は喘息の関与が考えられる場合にのみ考慮しましょうというのが現在の主流です(GOLD2017, JRS GL第5版)。
そんな中、ICS/LAMA/LABA vs ICS/LABA vs LAMA/LABAの比較試験がNEJMに掲載されました。
1万人以上のCOPD患者さんにICS/LABA/LAMA(トリプル療法)、ICS/LABA、LAMA/LABAを割り付け、増悪率を比較したものです。
ICSはフルチカゾンフランカルボン酸エステル、
LABAはビランテロール、
LAMAはウメクリジニウムで、いずれもエリプタ吸入器を使います。
ICS/LABAはレルベア®、LAMA/LABAはアノーロ®という商品名で、
ICS/LABA/LAMAは発売準備中です(いずれもGSKの製品)。
結果は増悪率については
ICS/LABA/LAMAが0.91回/年と最も低く、
ICS/LABAが1.07回/年、LAMA/LABAが1.21回/年でした。
一方、肺炎のリスクについては
ICS/LABA/LAMAが7%/年と最も高く、
ICS/LABAが6%/年、LAMA/LABAが4%/年でした。
ICS/LABA/LAMAは、増悪に関しては有用だが、
肺炎リスクはICS/LABA, LAMA/LABAより多かったという結果でした。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDはタバコが原因の「肺の生活習慣病」です。
今後増加が見込まれ、早期発見、早期治療が必要な疾患ですが、
早期には症状が出ないためなかなか早期発見は難しいのが現状です。
ここではCOPDの基本情報についてまとめてみました。
【COPDのコンテンツ】
【COPDの最新論文】
2019年6月 COPDにおけるICS使用と肺がんリスク減少
2019年6月 COPDにおけるLABA-LAMAとLABA-ICSのリアルワールドでの比較
2019年5月 COPD急性増悪にCRPをガイドに抗菌薬治療
2019年5月 肺機能正常の喫煙者における全身性炎症マーカー
2019年4月 COPD、心不全合併患者における有酸素機能障害
2019年4月 COPDにおけるICS/LABAへのLAMAの追加
2019年4月 FULFIL試験のサブグループ解析(FF/UMEC/VI vs BUD/FOR)
2019年3月 COPD患者の身体活動性に対するSABAアシストユースの有用性
2018年12月 トリプル療法の効果の期待されるCOPD患者像
2018年11月 バイオマス料理ストーブの改善による女性の健康向上(低中所得国)
2018年10月 COPDに対するトリプル療法(KRONOS試験)
2018年10月 肺機能の縦断的変化と臨床フェノタイプとの関連
2018年10月 チオトロピウム/オロダテロールの運動持続時間、呼吸困難感への効果
2018年9月 ブデソニド/フォルモテロールのMDI製剤のCOPDに対する効果(TELOS試験)
2018年9月 冠動脈石灰化でCOPDの冠動脈イベントリスクが予測される
2018年8月 トリプル療法からLAMA/LABAへのデエスカレーション(SUNSET試験)
2018年8月 COPDの最初の1年の増悪が多いとその後の増悪、死亡リスクとなる
2018年8月 ICSはCOPD死亡率を低下させるか(観察研究の限界)
2018年7月 COPDとフレイルのシステマティックレビュー
2018年7月 COPDに対するタバコの影響は本数よりも期間が重要
2018年5月 チオトロピウムオロダテロール vs チオトロピウム(DYNAGITO試験)
2018年5月 COPD増悪に対するトリプル療法(IMPACT試験)
2018年5月 上気道感染時のICS/LABA追加によるCOPD増悪予防
2018年4月 LAMA/LABAによる左心室拡張終末期容量の改善
2018年3月 起立時の収縮期血圧低下はCOPD発症を予測する
2018年2月 COPDの存在はNSCLCのICI治療効果に影響する
2018年1月 FeNOが継続して高いとAECOPDのリスクが高い
2018年1月 心血管リスクのあるCOPD患者に対するFF/VIの効果
2017年12月 COPDの増悪予測に患者申告の転帰を追加する意味はあるか
2017年12月 症状が強いほどLAMA/LABAの効果を感じやすい
2017年11月 好酸球性フェノタイプをもつCOPDに対するメポリズマブの効果
2017年10月 COPDに長期間ICS投与した際の喀痰中の細菌量