今回は、インフルエンザ肺炎についてです。
インフルエンザは全身性の強い炎症を起こします。
通常はインフルエンザの治療薬、あるいは自然経過で治癒していくのですが、時として肺炎を起こすことがあります。
この場合、「肺炎」には2つのパターンがあります。
一つはインフルエンザウイルスそのものによる肺炎です。
インフルエンザウイルスそのものが肺内で増殖するという面もありますが、
それ以上に問題なのが、免疫細胞が肺を破壊することです。
通常は免疫というものは自己を攻撃しないようになっているのですが、
インフルエンザ肺炎のように強い炎症が起こった場合には、
それをやっつけようとして必要以上に肺に集まり、肺を破壊してしまうことがあります。
インフルエンザウイルス自身は、抗ウイルス薬で増殖を抑えたりすることができますが、
「行き過ぎた」免疫が肺に悪影響を及ぼすということです。
免疫細胞が放出する「サイトカイン」と呼ばれる炎症を悪化させる物質が
過剰に出てしまっている状態といえるでしょう。
治療としてはステロイドなど、免疫を弱くする薬を使用して、
過剰なサイトカインの波が治まるのを待つ、というのが一般的です。
もう一つの肺炎は、「インフルエンザ後」の細菌性肺炎です。
インフルエンザをきっかけにして細菌性肺炎を合併することがあります。
これは、呼吸器疾患(COPD、喘息など)を持っている人に多く起こります。
普通の肺炎よりも治りにくい印象があります。致命的になることもありえます。
なので、特に持病を持っている人はインフルエンザワクチンをしっかり打っておきましょう。