肺炎を診療する際には、健常人に起こった市中肺炎(CAP)か、院内肺炎(HAP)・NHCPAP(医療介護関連肺炎)かを考慮した戦略を立てます。
CAPの場合、治癒を目指して①敗血症の有無、②重症度を判定を行います。
その上で、治療を外来か一般病棟かICUか検討します。
HAP・NHCAPの場合、①誤嚥性肺炎のリスクがあるか、②終末期状態で起こった肺炎かをまず判定します。
その上で患者、家族の意思を尊重した治療を行いますが、積極的な延命を目指さない治療が普及してきています。
治療にあたっては、薬剤耐性菌、重症度を考慮した抗菌薬の選択を行います。
CAPの場合、肺炎を疑ったらまずはqSOFAが何項目あてはまるか調べます。
qSOFA≧2の場合SOFAスコアを計算し、臓器障害を調べます。2以上増加するようなら敗血症とします。
十分な輸液でも血圧維持が難しく乳酸値が高い場合は敗血症性ショックとします。
重症度判定にはA-DROPシステムが有用です。
A(年齢)、D(脱水)、R(呼吸)、O(意識障害)、P(血圧)の5項目のいくつ該当するかで、軽症~中等症~重症~超重症を判定します。
治療の場が外来なのか入院なのかICUなのかを判断する参考になります。
CAPにおいて細菌性肺炎か非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミジアなど)の鑑別には上の図が参考になります。
6項目中4項目以上合致すると非定型肺炎を考慮した治療薬を選択します。
HAPの重症度判定にはI-ROADを用います。
該当項目が3項目以上だと重症。
2項目以下の場合、CRPと胸部X線の肺炎の範囲で軽症か中等症に分けます。
HCAP,HAPの場合は耐性菌が原因のことも多いので注意が必要です。
また、個人の意思やQOLを考慮し、「治さない肺炎」という選択肢もあることがガイドラインではっきり提示されました。
一般市民の意識改革が必要だと思います。